スポーツ選手には致命的な偏平足
自然にも存在する形の中で、上からの力に一番強いのが卵の頂点などにみられるアーチ構造です。
アーチ構造は橋にも取り入れられていて、山口県の錦帯橋や長崎県の眼鏡橋などが代表的で建造から数十年たっても持つくらいに堅牢なのです。
そして人間の中にあるアーチ構造が、足裏です。かかと・中足によって描かれるアーチは数10キロに及ぶ人間の体重を支える優れた機能なのです。
しかし、その肝心な足裏のアーチが全くなかったらどうなってしまうのでしょうか?
足にアーチがない偏平足
足裏にアーチ構造がない状態になっている足を「偏平足」と言います。本来はアーチ構造のために足裏が引っ込んだ状態になっているため土踏まずと呼ばれる部分がありますが、偏平足の場合土踏まずがなく素足を地面や床に付けると足裏全体がぴったりと地面や床に張り付いた状態になるのが特徴です。
偏平足だとどんなデメリットがある?
本来の足は、アーチ構造があるため上から掛かる自分の体重を完全に支えることが出来ます。それどころか歩行時に足に掛かる力は体重の3倍、走った時は5倍にもなるといわれているので、足裏は自分の体重以上の重さと力を完全に支えているのです。
しかし、偏平足の場合このアーチ構造がほとんどないため足に掛かる力を完全に支えられないため、足に掛かる力は膝や腰に分散してしまうのです。その為、偏平足の人は歩き方がぎこちなく十分な運動能力を発揮できなくなってしまうのです。
誰もが生まれたての頃は偏平足
大人の偏平足はともかく、子供の頃の偏平足はみんな誰でも一度はなったことがあるものです。なぜなら生まれたての頃は足裏にも脂肪がついていて、赤ちゃん特有のふくふくのあんよには土踏まずがない状態になっているからです。このような偏平足を「先天性偏平足」と言います。
先天性偏平足は成長と共に足裏の脂肪が無くなっていき、自然と解消されるものですが一部の人はそのまま偏平足が残ってしまうことがあるのです。
偏平足は立派なスポーツ障害の一つ
偏平足は外反母趾のように強く痛むわけではないので、痛みがなければそのままにしておいて問題はありません。しかし、スポーツに本腰を入れて取り組むには致命的な障害であるといえます。
偏平足の人は足で受け止めるべき衝撃が膝や腰などにも分散する為、普通の人よりも膝や腰を故障しやすくなります。逆に、好成績を上げるための筋トレや猛練習の結果偏平足になってしまうというケースもすくなくありません。
ちなみに、かのアルベルト・アインシュタイン博士は国民皆兵制を取っているスイスの国籍を取得していますが、偏平足であることを理由に兵役義務が免除されています。
偏平足を治すには
大人になってからなった後天性偏平足は、歩行の生活習慣が原因になって起こるものです。
普通、人が歩く時は爪先を上げながら足を上げてかかとから接地するものですが、偏平足の人は爪先が充分に上がっておらずかかとが付くと同時に足全体が接地するようなドタドタした歩き方になっているのです。このような歩き方は足裏のアーチをつぶすことになってしまいます。
偏平足を治すには、医師の指導の下で靴の中敷きを変えたりトレーニングを行ったりするなどの症状に合わせた治療が欠かせません。
土踏まず部分が盛り上がっている中敷きを靴に入れるだけでもだいぶ違うし、足指でタオルを引き寄せるトレーニングは足裏に起こる疾患の予防にも効果があります。
また、骨格の異常や変形が見られる場合は手術療法が適用されます。