女性に多い外反母趾は男性も無縁でいられない
足の親指が付け根から人差し指側に向かって反っていく外反母趾は、症状が軽いうちはさほど痛くはないのですが症状の進行とともに反る角度が急になっていき、痛みが増していきます。
酷い時は小指も薬指側に沿っていき、最終的には親指と小指の指先が人差し指・中指・薬指の上でくっ付いてしまうことさえあるのです。
こうなってしまうと歩くことどころか立っているのもままならない程で、我慢して歩いていても左右に重心がぶれた、ぎこちない歩き方になってしまうのです。
意外とみんな知らない外反母趾の怖さ
外反母趾は「足の親指・小指がひん曲がって痛い」だけの疾患であると考えている人は少なくありません。しかも疾患に悩んでいる人に対して「痛いだけなら我慢するべき」という考えを押し付けてくる人も少なからずいます。
外反母趾は状態が進行し、適切な治療を受けないと足の痛みだけですまない症状が出てくるようになります。重度の外反母趾を起こしていると歩行時のバランスが取れなくなり、身体全体のバランスを頭で獲るようになります。
そうすると首に多大な負担が掛かり、頸椎と頭蓋骨の境目にある自律神経が圧迫されるようになってしまうのです。
自律神経の圧迫は自律神経の働きを狂わせてしまい、自律神経失調症や甲状腺機能の亢進によるバセドー病の原因になってしまうのです。
外反母趾が起こる原因は足裏にあった
外反母趾は女性に多いことから、一般的には「ハイヒールのように窮屈で爪先が絞られた靴が原因」と言われていますが、ハイヒールを履かない男性や子供にも外反母趾が起こるので、今は要因の一つであっても原因ではないと考えられています。
外反母趾の原因は「足裏がきちんと接地しない歩き方」にあるというのが最近の考え方です。足は身体の全体重を支えるために指・中足・かかとが上からの力に強いアーチ構造になっているのですが、指+中足と中足+かかとの二つのアーチが支える形になっています。
しかし、靴を爪先が絞られたような靴を履いていると足指が浮いてしまい足指+中指のアーチは消え、中足+かかとのアーチだけで全体重を支えなければならなくなってしまいます。
中足+かかとのアーチで体重を支える癖がついて来れば来るほど足指+中足のアーチに頼らなくなっていくので、足指の浮きは激しくなり外反母趾が進行していくのです。
外反母趾を予防するには?
外反母趾を予防するには、足の筋肉を鍛えることが重要です。特に足指を動かす足底筋の強化が大事です。足指を握ったり開いたりを繰り返す、床に落としたタオルを足指で持ち上げるというように足指の握り開きを繰り返すことで筋肉を鍛えるのです。
また、窮屈でない靴を選ぶことも外反母趾の予防に繋がります。足のサイズに合っていない窮屈な靴ほど足指が浮いてしまうので、出来れば自分の足に合わせたオーダーメイドの靴を一足用意しておきたいものです。
外反母趾の治療
外反母趾が進行しすぎた場合は、外科手術によって治療することになります。外反母趾の手術は骨切りを伴うもので、一か月程度は入院しなければならないし普通に運動できるようになるには半年はかかってしまいます。
症状の軽いうちは、テーピングで内側に沿った親指・小指を外側に向くようにして固定する方法で治療していきます。テーピングでの治療は入院の必要がなく、やり方さえわかれば患者自身の手で行うことが出来るという利点があります。最近の治療用テープはお風呂に入っても剥がれたりしないようになっているので、安全かつ確実に治療出来る方法といえます。