すぐ足が痛む、運動しても偏平足が改善されない人は「外脛骨」かも
偏平足の人は、すぐに疲れてしまう、足が痛んだり歩きづらかったりする、といった経験をしている人が少なくありません。偏平足の改善には足の裏を鍛えるトレーニングやウォーキングなどが効果的とされています。
足の裏の筋肉を使う事で土踏まずが形成され、疲労や痛みが出にくくなる、という理論です。私自身、有痛性外脛骨に長年悩まされ続けました。長時間歩くと足が痛むのは7歳ごろから自覚していました。1時間以上歩いただけで外脛骨のあたりが疲れてしまい、数日間はズーンとくるような足の内部まで響く重い痛みを感じるのです。
ところがそれが当たり前だったため、特に疑問を感じることもありませんでした。くるぶしより出っ張った骨が誰にでもあると思い込んでいたのです。運動をすると足が痛み疲れてしまう、という人は外脛骨があるのかもしれません。
外脛骨は足に残った余分な骨
外脛骨は誰にでも存在する骨ではありません。足の内側の真ん中あたりにくるぶしとは違った骨が出ている人がいます。これが問題の「外脛骨」です。
外脛骨は過剰骨で、本来は必要ありません。この骨はもともと軟骨として存在し、成長とともに退化し周囲の骨に吸収されるはずのものです。しかし、そのまま骨として残ってしまうことがあります。
外脛骨があると偏平足になりやすい
偏平足は土踏まずを作る「アーチ」が十分に形成できないことが原因です。子供たちも室内で遊ぶことが増え、素足で過ごす時間が短くなったり、外で体を動かす機会が減ったりしていることも、その一因とされています。
一般的には自分でも偏平足の改善は可能です。すなわち、土踏まずを作るのを邪魔してしまうのです。また、痛みが起こるのも外脛骨と筋肉が引っ張り合うことで生じる炎症が原因とされています。足の真ん中に出っ張った骨がある人は、その骨の下あたりを押してみてください。激痛が走ったら、それが恐らく有痛性外脛骨です。
「有痛性外脛骨」を発症しやすい人とは
一般的には思春期、10~15歳ごろに多いとされています。きっかけとしてはハードなスポーツを行い、足の筋肉や骨に負担を掛けることで発症するようです。サッカーやバスケットボールのようにたくさん走ったり、バレーボールやダンスのように急激な体重移動を行ったり、といった運動中に足に痛みを感じるようになります。
ただし発症時期やきっかけには個人差があります。私は7歳の時点ですでに痛みがありました。でも、ハードなスポーツはしていません。思い当たるのは歩く距離が長かったこと。我が家にはマイカーがなく、多くは徒歩での移動でした。成長に応じた運動量ではなかったのかもしれません。また、歩き方もガニ股で脚に余計な負担を掛けていたと考えられます。
足首のゆがみを引き起こしO脚の原因にも
外脛骨があると足を揃えて立つことができません。かかとを付けると外脛骨でぶつかり、つま先が開いてしまうのです。つま先を前に向けて立つことができなければ、その状態で外を向いていたひざが前を向いてしまいます。つま先を揃えて立つとやはり外脛骨でぶつかり、今度はかかとが合いません。
また、外脛骨があると地面から真っ直ぐに足首が持ち上がっていない人も少なくありません。外脛骨がある人は、足を内側にひねる(親指側を上に、小指側を下に向けるように)と外脛骨周辺の筋肉が痛みます。
そのため歩行中も親指に体重を乗せがちです。足の裏に均等に力を掛けられなければ、足首が内側に傾く「回内足」を作ってしまいます。これはO脚やX脚の人に見られる特徴です。私自身が外脛骨の存在に気付いたのもO脚の改善がきっかけでした。15年ほど前からゆがみを矯正するために立ち方や歩き方を変え、骨格のゆがみを矯正するストレッチを行いました。ところが足を揃えて立とうとしてもモデルと同じような姿勢を取ることができません。足首の角度がどうしても治らないのです。
それで初めて自分の足の異常を知ったのです。くるぶしより出っ張った骨は本来退化してなくなっているべきものだった、ということを。この骨はない人の方が多く、骨があっても痛む人の方が少ないということを。しかもこの骨がある限り、足首を真っ直ぐにした状態で立つことができないのです。うーむ、憎き外脛骨め!
有痛性外脛骨の改善方法
整形外科ではテーピングを施したり、自分で行うストレッチの指導を受けて自分で改善したり、といった対処をしています。また、土踏まずを持ち上げるサポーターやインソールを利用することもあります。
あまりにも痛みがひどい人は手術で外脛骨を取り除く、という方法が取られます。 しかしほとんどの場合はテーピングやサポーターで痛みを軽減し手術は回避するようです。
サポーターを使ってみた
筆者自身も30年来の有痛性外脛骨持ちです。長距離を歩くと足に痛みが生じ、数日間鈍痛に悩まされるという症状がありました。子供のころからずっとこのような症状があったので、これが異常だと気づくのに30年もかかってしまいました。医療機関に通うよりはまず自分で何とかしたい、と思いインソールとサポーターをスポーツ用品店で試しました。そして行き着いたのが土踏まずを支えるサポーター。スニーカーを履くときにも使えるし、歩行中の疲労感や鈍痛を軽減できるかもしれないと思ったのです。
重くてだるい痛みから解放された
サポーターだけ装着しても「土踏まずが持ち上がっている」という感覚はそれほどありません。しかし、スニーカーを履くと、ものすごく押し上げられています。かなりの圧迫感です。 これで何時間も歩けるの?と少し不安もありましたが、徒歩で片道30分のショッピングモールへ行き、2時間ほどウィンドウショッピングや立ち読みを楽しんで徒歩で帰ってきました。そう、交通費も使わず、お店では何も買わずに帰ってきました。経済の発展に貢献していません。翌日も使ってみましたが、土踏まずへの圧迫感が軽減されたように思います。もしかしたら骨が微妙に移動し、土踏まずがほんの少し深くなったのかもしれません。
可能であれば店頭でお試しを
慣れるのに少し時間がかかる人もいるでしょう。しかし、足が楽になるのであれば試してみる価値はあると思います。私はワイズがE、かかとの幅が極端に狭いためインソールではあまり固定されなかったのでサポーターを使いました。
サポーターの圧迫感が苦手な人、耐久性を重視したい人はインソールで調整しても良いかもしれません。なお、インソールは通信販売で既製品を購入する方法もありますし、スポーツ用品店によってはオーダーメイドで注文する事も可能です。
痛みがひどいときは専門家に相談を
私は自分でサポーターを選び、運良くそれが足に合いました。しかし、自分で選んだ商品では改善しない人もいます。かえって足が痛くなってしまった、というケースもあります。自分で良いグッズを見つけられない、試したものの効果がなかった、という人は放置せず専門家に相談する方が良いでしょう。
整形外科ではテーピングをしてくれる先生もいますし、インソールなどの矯正用グッズを作ってくれる場合もあります。手術をすると物理的に外脛骨がなくなりますので、痛みから解放される可能性は高いです。
ただ後遺症が残る可能性も考えられますので、切らずにサポーターやテーピング、インソールで解消するのももちろん一つの選択です。